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映画 渋谷行進曲


JACOFes 実行委員会
慨hibuya Cinema Tokyo


「人生は成功するためにあるんじゃない。ただ生きろ。それだけで苦しい。苦しい苦しいって言いながら、それでも生きる。それでいいんだ。それが生きるってことだ」



渋谷代官山にある老舗劇場、“シアター浪漫City”。2020年3月。新型コロナウィルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言発令により、予定されていた公演『渋谷行進曲』が初日目前に中止となった。すでに劇場にはセットが立てられ、出演者、スタッフはみんなリハーサルの真っ最中。
「仕方ない、こういうご時世だ」
誰もが口を揃えて劇場から立ち去ろうとする中、ただ一人、劇場から動かず奮闘する男がいた。その男の口癖はこうだった。
「もし今夜世界が終わるなら、俺はどうしたい?」

それぞれの思惑がぶつかり、行き詰まり、爆発し、やがて誰もいない劇場のステージにスポットライトが当たる。

これは、パンデミックのさなかの劇場を舞台にした3日間の物語。
見たことも聞いたこともない未知の脅威と制約された社会の中で、目にも見えず、音もなく静かに横たわる恐怖。 今までとは違う、すっかり変わってしまった日常。自分の人生。変わっていく環境にうまく適応できず、心と体を病んでいく人々。壊れていく関係。だが新しく芽生える繋がりも確かにある。破壊の後、再生は必ず起こる。


人が生きるということはどういうことなんだろう。人の幸せとは、なんなのか。そんな根本的な疑問を考えたかもしれない、または何も考えなかったかもしれない名もなき人々の、劇場を舞台にした人生の縮図。



登場人物

・河上譚 かわかみだん … 南翔太
主に舞台で活躍する、幅広い層から人気がある中堅俳優。表向きの明るさや溌溂とした印象とは裏腹に、内面では自己肯定感が低く、その不安感から他人を見下したり、卑屈になる癖があり悩んでいる。

・森ノ宮咲多郎 もりのみやさくたろう … 松田好太郎
CACカンパニーの社長でありプロデューサー。多くの舞台作品やイベントを手掛けているが最近は若手女優(またはアイドル)の育成と称した活動に傾倒している。最近のお気に入りは芦屋稀。

・紅蓮豊 ぐれんゆたか … 松浦正太郎
脚本家。小劇場で人気を上げ、テレビドラマ、映画の脚本も手掛ける。その他プロデュース公演や俳優育成なども行う野心家で女たらし。舞台作品では必ず激しいラブシーンを書き、俳優の動揺を楽しむ。

・音野ことね おとのことね/ナレーション … 吉沢果子
“シアター浪漫 City”客席係員チーフ。仕事に厳しいが目下には優しい。芝居を愛しており、劇場にも愛着を持っている。雄輝の夢を応援している。

・北原晶菜 きたはらあきな … 梅原はるか
“シアター浪漫 City”専属の舞台監督。父親の代からこの劇場を守っている。大衆演劇で修行を積んだせいか自分をトーリョーと呼ばせる。春夏秋冬、朝から晩まで作務衣と雪駄でいる変わり者。

・石田瑛太 いしだえいた … 橋谷拓玖
“シアター浪漫 City”の制作。音響や照明の機材にも詳しいためそれらの管理も任されている。少々無責任だが屈託ない明るさがあり職人気質の晶菜と良いコンビ。レディファーストが取り柄。

・郡山円佳 こおりやままどか … 野良のりオ
譚のファン。幼い頃から知能指数が高く「神童」と呼ばれ将来を期待されてきたが就活に失敗し恋愛にも失敗したため絶望して自殺を図る。救ってくれたのは偶然見たテレビドラマの中の譚の言葉だった。

・逆瀬川雄輝 さかせがわゆうき … 宮下涼太
“シアター浪漫 City”の新人係員。演出家志望で勉強のために働いている。譚のファン。高校時代に脳の病気で死にかけたことがあり、それ以来「今日が最期」という気持ちで毎日を生きている。

・有村夢乃 ありむらゆめの … 安楽楓
“シアター浪漫 City”の係員で雄輝の教育係。雄輝のことを密かに好いている。頑張り屋で無理をしすぎることが多いのは、寂しい幼少時代を過ごしてきたせいで承認欲求が強いため。

・奥田未來 おくだみらい … 高橋しよは
裕史の姪。渋谷にある大学の一年生。コロナ禍で高校卒業式も大学入学式も消えたが前向きに頑張っている。
裕史の先代の支配人だった祖母になついており、祖母が愛した劇場を守りたいという想いは裕史より強い。


・余輝美 よてるよし … 吉木遼
CACカンパニーのプロデューサー。森ノ宮とタッグを組んで数々の公演を主催してきた根っからの芝居好きの男好き。譚のデビューの頃から共に歩んできた自負がある。あだ名はテルミン。

・白崎莉音 しらさきりおん … 宮藤あどね
女優。譚と共演回数が多く仲の良い友人。男勝りな性格で前向き。譚を好きなのだが友人からなかなか進展せずもどかしい思いを抱いている。稀とは相性が合わずほとんど口をきかない。

・芦屋 稀 あしやまれ … 後藤郁
譚の事務所の後輩で女優。実はシンガーソングライターを目指している。神経過敏で繊細な感性の持ち主。他人とコミュニケーションを取るのが苦手。警戒心が強く、基本的に自分以外は心底から信じることができない。

・細池和弥 ほそいけかずや … 松浦慎太郎
古典芸能研究の道を究めすぎて自分でもやってみたくなり俳優を志し劇団の養成所に入ったため“演劇文化”には一番熱い男。舞台公演の“中継”だの“配信”だのは許せない、DVD化なんてもってのほかの古風な男。

・蒼真義景 そうまよしかげ … 河野凌太
俳優。野心が強く人気上昇中で譚を凌ぐ勢いを持っているため、譚の煮え切らない性格が苦手で、つい棘のある言葉を吐いてしまう。俳優は演技力よりプロモーションが命だと思っている。

・北原鈴 きたはらすず … 小貫莉奈

晶菜の妹。看護師。新型コロナウィルス感染の恐怖に晒されつつストレスを抱えながら仕事している。父の死後、母が地方に住んでいるので東京では晶菜との二人暮らし。

・奥田裕史 おくだひろふみ … 加藤ヒロ
“シアター浪漫 City”の4代目支配人。世間の目や自分のリスクを何より恐れる。実はあまり芝居には興味がない。コンサルタントとしての仕事があり、劇場は親族から頼まれて仕方なく運営しているに過ぎない。

・大谷零 おおたにれい
作曲家、ヴァイオリニスト。幅広いジャンルの演奏動画やヴァイオリンの指導動画などで人気があり、瑛太がたまたま目にしてコンタクトを取り、『渋谷行進曲』のテーマを作曲することになった。

・矢吹康史 やぶきこうじ … ヒロホンダ
舞台演出家。派手好き。ファッションショーやダンスパフォーマンスの演出から 2.5 次元系の演出など華やかなショー形式の舞台作品を手掛ける。そのため芝居に一本気の譚とはあまり合わない。

・佐治景 雅哉 さじかげまさや
譚と稀の所属事務所オフィス L.Pの社長兼チーフマネージャー。譚を育てることには少々飽きており、最近はもっぱら稀の営業に力を入れている。森ノ宮とは旧知の仲だが輝美とはあまりウマが合わない。